【Silk】
2008年03月10日
2.エッセイ/『母の弁当』
僕は母の作る弁当が大好きだ 特に黄色に色付く、菜の花弁当が大好きだ 四角い弁当箱の蓋を開けると、炒り玉子(いりたまご)の花畑が輝き現れる そしてその花畑の中を、挽肉の畦道(あぜみち)がインゲンの土手を伴ない斜めにはしる 言い過ぎかもしれないが、まるで映画の一場面のような弁当だ しばし見惚(みと)れてからおもむろに頬張る すると口の中一杯に、美味さをスパイスとした幸せがパッと満ちる やがてその幸せが腹から脳、そして全身へと染み渡る そして全身が幸せに包まれた時、弁当も空となり「ご馳走さま」を言う そんな弁当の時間が一番の楽しみで、ちょっと背伸びし入った高校に“赤点自動生産機”“究極の落第生”と言われようが通っていた もしかしたら母が毎日作ってくれたあの美味い弁当の数々は、「頑張って通い切れ!」と言う“駄目息子への母からのエール”だったのかもしれない 無事卒業し手にしたアルバムに、美味そうに弁当をつつく僕の写真が載っていた 勿論その弁当は“母の弁当”だ 「ありがとうお母さん」と30年後の今、駄目息子は呟く
【Silk】
【Silk】
▼朗読の『舩後シスターズ』
『舩後シスターズ』/資料録音
朗読:小泉智子
演奏:金子みも
作詩:舩後靖彦
1.詩/『レモンツリー伝説』
夢実る木を求め、旅に出たんだ。
伝説の木を求め、旅に出たんだ。
旅は辛く、彷徨える日々を過ごした。
レモンの木はどこだ。
夢見る木を求め、旅を続けたんだ。
伝説の木を求め、旅に出たんだ。
独り、彷徨える日々を過ごした。
レモンの木はどこだ。
レモンの木を求め彷徨ったんだ。
遥かな異国を彷徨ったんだ。
気がつけば道連れの人がいた。
同じ夢見る友がいた。
心結び、ふと振り返れば同じ道。
伝説を創る僕らと知った。
辿る行く手で、夢開かせよう。
レモンの木を萌えさせて。
生きる標、魂の実、レモン。
誰もが心に宿す実、レモン。
それは夢を育み、実らせるんだ。
レモンの力、信じよう。
【Silk】
朗読:小泉智子
演奏:金子みも
作詩:舩後靖彦
1.詩/『レモンツリー伝説』
夢実る木を求め、旅に出たんだ。
伝説の木を求め、旅に出たんだ。
旅は辛く、彷徨える日々を過ごした。
レモンの木はどこだ。
夢見る木を求め、旅を続けたんだ。
伝説の木を求め、旅に出たんだ。
独り、彷徨える日々を過ごした。
レモンの木はどこだ。
レモンの木を求め彷徨ったんだ。
遥かな異国を彷徨ったんだ。
気がつけば道連れの人がいた。
同じ夢見る友がいた。
心結び、ふと振り返れば同じ道。
伝説を創る僕らと知った。
辿る行く手で、夢開かせよう。
レモンの木を萌えさせて。
生きる標、魂の実、レモン。
誰もが心に宿す実、レモン。
それは夢を育み、実らせるんだ。
レモンの力、信じよう。
【Silk】
2006年07月23日
今、2020年 僕の名前は…
![20050612_1922_0000_4_thumb[1].jpg](https://funago2.up.seesaa.net/image/20050612_1922_0000_4_thumb5B15D.jpg)
澄み切った東京の空には、僕以外の存在はなかった。
あのころの僕はまるで王様で、東京、いや日本中の人達が、僕を自慢してくれていた。
世界に向けて。
そんな至福の時はあっと言う間に過ぎ、今は老骨に鞭打ち、立っているのがやっとの存在だ。
それに、僕が生まれた時僕が独り占めにしていたあの東京の空は、もう見えない。
“なぜか?”って。
実は、僕の周りには、僕よりはるかに背の高い、若い摩天楼達が、そびえ立っているからなんだ。
今では僕は、過去の存在。
誰も話題にしない。
でもそれが清々しい。
“なぜか?”って。
そうそれは、生まれたころの僕って人の言いなりで、僕であって僕ではなくて。
うんあの時は、人々が世界に自慢する存在だったけど、僕ではなくて。
心は人の言いなりだった。
だから、言われるままに立っていた。
だからか、称えられるままに威張りちらしていた。
今では僕は、過去の存在。
誰も話題にしない。
でもそれが清々しい。
“なぜか?”って。
そうそれは、今では僕は、誰も思い出す人もない存在だけど、自分のために立っている。
うん今は、自分の意志で立っている。
誰のためにでもなく、自分のために。
今僕は、自分自身を手に入れた。
だから清々しいんだ。
もうすぐ僕は、倒されるかもしれないけれど。
それまでは、自分のために立ってみよう。
そうそれまでは、自分のために生きてみよう。
この、東京の空の下で。
僕の名前は…そう、僕の名前は東京タワー。
過去の存在。
誰も話題にしない。
今、2020年。